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お問い合わせは Lapinまで。 発行/管理:Miette 著者 三橋和賀子 無断転載、複製は禁止します。 The ban on unapproved reproduction |
*そんなにはネタばれしてないと思います。 別にファンな人は誰も出てないんですが、なんとなく、なぜか、いまさら見てしまいました。 主題歌のPVの印象から、なんかもっとシュールな、映画になってないような作品かと勝手に思ってたら、ちゃんと映画でしたね。先入観はいかんな。そしてジェイ・ストームの映画はあなどれん、やっぱ。 突然、ミネラルウォーターの人気メーカー、アルマジロ社の社長である父(宝田明)が、自伝を書くと引退。心の準備もなく会社をゆずられてしまった、兄トラジ(国分太一)と弟ハイジ(堂本剛)の物語。 表面はものすごくポップなんだけど、実はかなり内省的で、おセンチな映画でした。静かな映画だなっていう印象が残った。ちゃんと芯に「父と子」「兄と弟」の物語があるのが、よかったな。とくに「父と子」の物語のパートが好みでした。互いに思い合ってるのに、うまく気持ちが伝え切れない。そんな父子の不器用さが、繊細に描かれていた。薮内省吾という人は、物語をつむぐ才能あるね。映像ばっか言われがちですが。 父役が宝田明ってのが、ほんとツボ。この人のバタ臭い演技、オンリーワン。NHKの朝ドラ『私の青空』以来、どうも気になるんだよね。そういう宝田明ならではのテイストを、うまく生かしたキャラ設定。社長時代、いつも周りをヘルシーな人たちが取り巻いてるのがツボでした。意味ないけどこういうお遊びは好き。あと、ものすごくポジティブなキャラなのに、次男ハイジとはうまくコミュケーションとれないっていうのが、せつなかったす。 トラジハイジは、絶妙なキャスティング。兄弟だからこそ、遠慮がちな関係っていうの、ふたりはうまく作り上げていた。トラジを演じる太一さんは、気弱な人をやらせたらぴったりだよね。もっとドラマとか出るといいのに。ハイジを演じる剛さんは、やっぱうまい。安心して見られる。父とうまくコミニュケーションとれず、放浪癖のある次男って感じを、セリフじゃないとこでにじませてた。 ヒロインは大河内奈々子。ものすごくスレンダーだから、レトロチックなファッションが似合ってた。でも悪くはないんだけど、やっぱ不思議な人には思えない。演技下手でいいから、もっとほんとに不思議なムード人の方がこの役にはよかったかも。なんてね。 あ、大河内さんの父役が、池野めだかだっていうのがやられた。しかもパイロットで世界を飛び回ってる、かっこいい役。もうね、映像的に飛び道具でした。池野さんと宝田さんの2ショットシーンやられた。あと次男問題の権威が、藤岡弘、ってのもナイスキャスティング。著書名が「次男は長男ではない」とかやられた。 セットや衣装、家具、小物などで、うまく世界感を作り上げていた。レトロフューチャーなテイストで、ちょっと日本映画っぽくないトーン。とくにアルマジロ社内は、かなりポップ。そのセットを生かして、階段にまでたくさん人が並ぶシーン、昔のミュージカル映画みたいで好き。あとトラジハイジが生み出したって設定の、こども番組やCMもうまくできてたな。かわいくないアルマジロのキャラ、かなり好き。あと父が社長時代の体操やダンス、いい感じにきもいふりつけで印象強い。画面のすみずみに、アイディアや遊び心があふれてる作品でした。 あとやっぱ主題歌『ファンタスティポ』好きだな。気持ちがあがるキャッチーさ。 誰でも好きになるタイプの映画じゃない。けど誰でも思い当たる、普遍的な気持ちを含んでいた。傑作って感じでもないけど、私はこの作品、割と好きかも。 『ファンタスティポ』公式サイト http://www.fantastipo.com/
by lapin-waka
| 2006-03-19 17:08
| movie
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