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お問い合わせは Lapinまで。 発行/管理:Miette 著者 三橋和賀子 無断転載、複製は禁止します。 The ban on unapproved reproduction |
時々、NHKで深夜オンエアされる『アクターズ・スタジオ・インタビュー』。毎回、ひとりの俳優や監督を迎え、関わってきた作品や、仕事のやり方について、じっくりインタビューする興味深い番組。ゲストがいつも豪華。押さえ気味の、ジェームズ・リプトンの司会っぷりもいい。 ゆうべの主役は、ジャンヌ・モロー。50年のキャリアを誇り、100本以上の映画に出演している彼女。煙草を吸いながらインタビュー受けてる姿が、ほんとクール。しびれる。きちんと人生を重ねてきた女性ならではの、迫力があった。深いシワさえ、かっこいい。イメージ上の“フランスの女”そのものだ。 ルイ・マル『死刑台のエレベーター』『恋人たち』、トリュフォー『突然炎のごとく』『黒衣の花嫁』、ブニュエル『小間使の日記』などなど。いろいろな監督の作品に出演してきた彼女。演技についての話がとても興味深かった。内気なのは、実は俳優の強みになるとか。演じる時は自分を空にしておく、通りのいいホースのようにとか。 『突然炎のごとく』を作ってる時の話が、おもしろかった。それまで彼らを支えてきたプロデューサーが裏切った。足りなくなった資金を、ジャンヌが自ら調達して映画を作った。録音技師さえいなくて、同時録音できたのはジャンヌが歌うワンシーンだけ。それ以外のシーンは皆、アフレコ。でも、その分、アフレコの時に、声でいろんなことが試せた。お金がないので、衣装係はジャンヌ。美術も、スタッフや俳優たちで手わけした。22人の出演者・スタッフのお昼は、ジャンヌが作っていた。そのためルイ・マルは、昼食の1時間前にはジャンヌを撮影から解放していた。既存の映画とは違う方法で、新しい表現の映画が次々生まれていた、ヌーベルウ゛ァーグの時代の熱気を感じさせるエピソードばかり。お金はなくても、若い映画人たちの工夫や情熱が、あの素晴らしい映画たちを生んでいたんだ。 初監督作『リュミエール』について語っていた時の、ジャンヌの言葉が印象的だった。大人の女性に、きっと勇気をくれる言葉。 「何歳になっても、神から才能を授かっていて、その事のために生まれてきたなら、世の中に何かを送り出すことができるわ。注目され、理解してもらえる何かをね。何か美しいものを伝えることが出来るのよ。」 番組恒例「10の質問」のジャンヌの答え。 Q:好きな言葉は? JM:Qui(はい) Q:嫌いな言葉は? JM:Fin(終わり) Q:心おどり、興奮するものは? JM:新しい発見。発見は皆、新しいけど。 Q:好きな音は? JM:親しげな声。 Q:嫌いな音は? JM:銃と爆弾の音。 Q:好きな悪態は? JM:メルド(クソ)。定番よ。でも今では、普通の言葉ね。悪いとは思われてないわ。 Q:女優以外でやってみたい仕事は? JM:小児科医になりたかった時期があるわ。 Q:絶対にやりたくない仕事は? JM:売春。蔑視はしないけど。強制されて自分を売るなら、ひどいことだわ。 Q:もし天国があるなら、着いた時、神になんと言われたい? JM:おかえり、ベイビー。
by lapin-waka
| 2005-09-01 00:04
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