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お問い合わせは Lapinまで。 発行/管理:Miette 著者 三橋和賀子 無断転載、複製は禁止します。 The ban on unapproved reproduction |
終戦から70年 NHK朝の連続テレビ小説『カーネーション』に見る私たちの過去・現在そして未来〜脚本家・渡辺あや氏をお迎えして 立教大学池袋キャンパス11号館地下AB01教室 ツイッターで知り、上記のように題された渡辺あやさんの、立教大学の21世紀社会デザイン研究科の講演会へ行ってきました。受講無料、事前申込不要という、学外にも開かれたものでした。 まず冒頭、『カーネーション』(2011年下半期)の初回のちび糸子と糸子が歌うオープニングが流されました。 そして司会と聞き手で今回の企画者である長有紀枝教授が登場。簡単な今夜の主旨と流れを説明。 長教授が、とにかく渡辺さんの作品(もちろん『カーネーション』も含む)がお好きで。愛だだもれな感じなのが、ドラマニアとして親近感。ないつてをなんとかたどってたどって、渡辺さんにお手紙を出して、今回の講演会を実現したとのこと。その熱意に頭がさがります。また好きだからこその深い愛ある質問と、研究者だからの客観性のある司会ぶりもとてもよかった。 そして中村陽一21世紀社会デザイン研究科委員長が登場して、10分ほど渡辺あやさんについて解説をされました。これは『カーネーション』の前年に作られた『その街の子ども』(2010年)が中心でした。戦争を扱った作品と、震災のその後を扱った作品、リンクしていたんだなあと気づかされました。 そして『カーネーション』の前半の総集編の中から、主に戦争に関する部分の映像が45分ほど流されました。何度も見た映像なのに、グッときました。戦争の描き方が、それまでの朝ドラと一線を画していたのだなあと改めて。日常が、大切な人が、じわじわと戦争に侵食されていく感じ。食料の調達や夜の空襲からの避難でくたくたになった糸子の「もう、なんや、考えられへんようになってました」という台詞が胸に刺さる。あと、やっぱり勘助なあ(涙)。そして、泣けなかった糸子がだんじりの前で泣くシーンの、飛び散る赤い花びら。玉音放送の後で、すっと立って、昼ごはんを作ろうとする糸子。ああ、いまだに『カーネーション』、いくらでも語れる! そして、わざわざ島根からいらしたという渡辺あやさんが登壇。長教授が渡辺さんに質問を投げかけつつ、進行するという形で講演会は進みました。また質問は、参加者が質問用紙に書いたものも取り混ぜられていました。 以下は印象的だった渡辺さんの言葉のメモより。断片的ですみません。間違いや、肝心なことの抜けもたくさんあると思います。悪しからず。 ・表現者として、いつか自分も戦争を描く時が来るんじゃないか。来ないといいなあと思っていた。経験した方がいる出来事を書くのは、怖い。 ・『その街のこども』で階段をひとつ登った。『カーネーション』でふたつめの階段を登った感じ。 ・長い時期を描く中で、戦争を描けるのは朝ドラならでは。だから戦争で亡くなってしまう人を、身近な人としてイメージできる。 ・おばあちゃんやこどもでもわかるようにと心がけている。 ・前もってプロットは書かない。その週に起こった史実を書き出してもらい、それを参考にする。 ・過去はぺっちゃんこに見えてるんだなあということ。自分も含め、一面的な戦争のとらえ方をしていた。そのぺっちゃんこの過去を解凍しなければならない。 ・「日常の中に戦争がある」というのを、生々しく描くのが大切。大好きだった男のキャラが次々にいなくなっていくなを、自分が体験しているように感じて欲しかった。 ・最終回、『カーネーション』の初回を見ている奈津さんの後ろ姿。ただのありふれたお年寄りの中にも、ひとりひとり戦争があるっていうことを表現したかった。実は目の前にいる人のことを全くわかっていないのかもしれない。 ・勝さんの浮気。人間の人生って、どんなにシリアスにまとめようとしてもまとめられない。 ・都合よく人物が動かないようにしたい。キャラクターの尊厳を守りたい。 ・改心したくない登場人物は、その人の気持ちのほうを大事にする。 ・朝ドラでできることをやりたかったら。よくよく考えたら、こうだったというのを書きたかった。 ・戦後、勘助の母が戦争のドキュメンタリーを見て傷つく。あの子はやったんやな」と言う。そういう母親はいっぱいいたんだろうな。 ・女性は「好き」という服を着ると、バージョンアップする。好きな服を着られるように自己管理をするのが大切。 ・誇りと品格、いい洋服を着ると取り戻せる。 ・自分の世代は、人に伝えられるボイスを持っていない。 ・花火に連れて行ってもらった娘さんの話。ちょうど8月6日で、帰りのタクシーのラジオでずっと原爆の話をしていたのが嫌だった。ところが同乗していた渡辺さんのいとこは、そんな話を覚えていなかった。戦争を風物詩としか受け取ってなかった。ドキュメンタリーは定型化していて、どんどん伝わっていかないんじゃないか。 ・講演会をあまりやらないことや、脚本以外の文章を書かないことについて。自分の考えは、業務用の材料。どさっと汚く置いておかないと使えない。講演会とかをすると、考えが整理されてしまって材料にならない。 ・自分の考えが「希望」になってしまうと、脚本にならない。映画『インサイド・ヘッド』のことを話されてました。 ・脚本を始めたきっかけ。こどもが2歳になるまで、家にひきこもった生活をしていたら、頭の中に物語のようなものが生まれてきた。でも小説は文体が確立してないと書いたらいけない。じゃあ、セリフだけを書き出したら、脚本みたいなものが出来た。 ・『カーネーション』の執筆時に、東日本大震災があった。影響はあったけど、なるだけないように書いた。すごく、ゆれた。でも囚われずに書いていこうと思った。その方が、見ていただいた時に力になるんじゃないか。また普遍的なものを描こうと思ったので。 ・頭と心と体をすごく使って書くので、自分の作品はなるだけ忘れたい。(『カーネーション』も今回、初めて見直したそう) ・尾野真千子さんは、書いた以上のことをする。その意志の強さが書き手として励みになった。尾野さんがすごいのは、現場という場を守り抜いたということ。場の中心にいて、要になった。 ・自分が好きになれる人を見ていたい、というのがモチベーション。関係性の中で浮かび上がる“尊いもの”を描きたい。 最後に渡辺あやさんが選んだ回を15分まるごと見せていただきました。14週79回。糸子、八重子、昌子が東京へパーマ機を買いに行き、生地を買うためのお金を戦争孤児の泥棒に盗まれてしまう回。この回について、上映前、渡辺さんはこんなことをおっしゃってました。 ・この戦後が、いまの私たちにつながっているんだなあと思えた回。必ず大きな出来事は、私たちにつながっているし、影を落としていると、自分が初めて気づいた回。 ・自分にとって死は怖いものだし、重たいものだけれども、考え方ひとつで取り除けるもの。 ・自分がこの国に生まれた表現者として、これからどういう表現をしていくか考えさせられた年でした。 ・自分がこれから描くには、平和な国である、平和国家であることを享受したい。その映画を作れる、そのテーマを扱えることを謳歌する。例え、どんなひどい題材の映画であっても、豊かなものが伝わってくると思う。 ・自分でやりたいものはない。でも自分の準備が整った時に出会えると思う。 あまり講演会をやらない渡辺あやさんのお話を生で聞けて、得がたい体験でした。企画した長教授、立教大学の皆さんありがとうございました。 あ、レジュメでいただいた「糸子年表」がすばらしいものでした。力作!これを読むだけで、『カーネーション』の世界にひたれる。
by lapin-waka
| 2015-08-28 16:46
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